デバイスによる線・面対策ついて

ティファニーでスムーズ横断歩道を

デバイスとは、道路の静穏化や安全対策において、道路上に自動車の通行を阻害するものを設置して、速度を落とさせたり、一時停止を促したり、通行そのものをできなくするものです。

よって、道路側から、クルマの運転を制御できることが求められます。かっ飛ばして走りたいというドライバーの意思通りに通行できるようなものは、意味がありません。車が走りにくくなるという苦情がよせられますが、そもそも、そういうものです。走りやすいデバイスは、存在意義なしです。

デバイスのバリエーションについては割愛しますが、そのなかでもハンプは最強です。我が国において、確実な速度抑制効果が得られるデバイスは、他にありません。これは本当です。

海外の狭さく事例ですが、これでも慣れたドライバーは飛ばしてます。衝撃ですね。

もうひとつ、大事なこととして、ハンプなどの多くのデバイスは点で設けるものとなります。そして、理屈としては、点で設けられたデバイスの効果は、点(その影響の及ぶ短い区間)でしか及びません。よって、交差点や横断歩道の手前など、速度を落とさせたり一時停止を促すことが求められるところに置くべきです。

学校の校門前に設置するスムーズ横断歩道が象徴的な例ですが、交差点や横断歩道など、点に対して行う交通安全対策に、デバイスは使われて良いはずです。

幹線道路の交差点から少し入った抜け道になりそうな場所にありました

ただし、単路での単発のデバイスは問題があります。速度抑制を目指してもその効果が得られるのは短い区間でしかありません。単発のデバイスで、路線全体の速度抑制ができるなんてことはない、と考えてください。

しかも、さらに問題があります。デバイス通過後にアクセルがふまれ、再加速音がでます。また、飛ばしたい気持ちを抑えられないドライバーが、デバイスに高速でつっこんでしまうこともあります。音や衝撃の問題は、ハンプの場合でよく知られているけれども、ドライバーの希望する速度とデバイスによる抑制速度の差が大きければ、原理的には、どのデバイスでも再加速音は発生する。ハンプで再加速音が問題になりがちなのは、むしろ速度抑制効果が高いからこそです。

点のデバイスを用いて、ある程度の距離のある区間(=路線)対策効果を得ようとすれば、「デバイスは連続設置をすることが基本」となります。大事なことなのでもう一度いうが「連続設置が基本」です。ある区間(路線)に効果を与え続けるデバイスとしてスラロームがありますが、これはシケインや片側狭さくを連続設置したものとも言えます。

単路に連続設置されたハンプ
こちらも連続設置されています

デバイスをひとつおいたくらいで、特定の路線の通過交通対策にはなりません。地区(エリアやゾーン)全体の安全対策を目指すのであれば、なおさらです。

走りにくさを生み出す「点のデバイス」の効果を「線や面」に広げようとするのであれば、その路線や地区が、自動車の自由な通行が望まれていない道路であることをドライバーに伝え、理解させることで、ドライバーの運転そのものを変える必要があります。その証拠に、小学校校門前のスムーズ横断歩道で、単騎のハンプの問題が起きにくいのは、そこが速度を落とすべき場所であることがドライバーに理解できるからです。

言い換えると、小学校校門前の事例のようなゆっくり走る意味が伝わる置き方なら、より効果の範囲が広がるかもしれませんが、デバイスがひとつあることで、ゾーンの安全が高まることはなく、それ以外の路面表示や注意喚起看板などが総合的に機能していると考える方が理屈に合います。

線や面で効果を得たいのであれば、「デバイスの連続設置」と「運転をかえる工夫」が必要です。入口での対策(入口部のデバイス・かんばん)や、路面の工夫でもよい。デバイスと景観舗装の組み合わせもよいと私は思う。どちらかだけでは、効果がうすいのです。

何度も言いますが、デバイスを1つおいて、それだけで戦えというのは、無理があります。宇宙怪獣が群れになって各国の都市を攻撃している状態に、ウルトラマンひとりで地球を守れと言っているようなもんでしょう。

単発でデバイスだけをおくようなことをして、効果が得られるわけではありません。単発でデバイスを置いて、地区全体の速度抑制効果を得たいなら、地区全体の取組が必須となります。 もちろん、効果的なデバイスでなければしょうがない。

走りにくいかもしれませんが、クルマの通行を制御することが目的です。
幅の広い道路で多少くねらせても効果はありません。

面的な交通規制を組み合わせているじゃないか、という反論はありえますが、あえて言えば、単騎のデバイスと面的な速度規制だけで十分ですか?

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