LOOK RIGHT

イギリスの横断歩道で驚くのは、とにかく信号無視が多いこと。実は信号を守る義務がないようです。(ちなみに横断歩道の前後にある横断禁止の道路標示もあまり守られている様子がないですね。)日本では、子どもの頃から横断してはいけないという教育を受けるので、少し大きな道路になると横断=違法という感覚があるのではないでしょうか。その目から見ると、おお、これは!という感じがします。

おそらく、イギリスでも日本と同様に歩行者の横断中の交通事故はおきていると思います。そこで無信号横断歩道には白黒のゼブラの棒の上に黄色く輝く球が輝き、中央には島があり、ブリンカーがある。そして、もちろん、横断歩道そのものがハンプになっているところも多い。ドライバーは、信号があれば必ず守らなければならないのと同じように、無信号横断歩道では歩行者に道を譲らなければならない。ドライバーに対しては、横断歩道で止まらない=違法という感覚がありそうです。

ところで、ロンドンの横断歩道のわたりはじめに「LOOK RIGHT」の文字があります。横断しようとする歩行者に「右をみろ」と指示をする。クルマをみろ、ということです。ちなみに、信号のある横断歩道でも書いてありました。信号を守れ、ではなく、クルマを見ろ、です。

ちなみに、LOOK RIGHTだけでなく、LOOK LEFTもLOOK BOTH WAYSもあります。一方通行の道路、横断途中にある島、それぞれの場所で、右か左か異なる。だから、場所に応じて、右を見るのか、左を見るのか、両方をみるのか、わかるように書いてある。右左右を見なさい、という汎用性のあるの指示ではありません。

私のような下ばかり見て歩いている歩行者が、道路を横断しようとする時、一番に伝えることはなにか。それを端的に表していると思います。じつに親切。

歩行者”青”の横断歩道を横断中の子どもが事故にあうニュースがありました。ドライバーを非難する声が上がり、その個人属性が事故原因であるかのうような報道がなされているのではないでしょうか。(そして、しばらくすると忘れられるのでしょう。)青信号は安全でなければならない、そんなことはあたりまえであるから、ミスした人間に罪がある。それで解決。あとは、わすれることができる。

誰であろうと、人はミスをする。事故を防ぐためのさらなる一手二手を打たなくてはならない。ミスをした人を非難し、自分ではない誰かのせい、として頭の中で整理することはできても、現実の事故は無くせない。

もう一度書きますが、誰であろうと、人はミスをします。だから、私はミスがありうる前提で身を守る交通安全教育を訴えています。子どもたちに横断の仕方を教える時に、いつもクルマを見なさいと伝えるようにしています。信号は守りなさい、でも、信じてはいけない。信号があっても、クルマが来ていないことを確認しなさいと話す。信号が何色だろうと、ひかれてしまっては、もう取り返しがつかないのだから。

それでも、子どもは(大人もですが)ミスをします。大人がいつも見守れるわけではありません。クルマを見なさい、と道路が教えてくれたらよいのに、と「LOOK RIGHT」をみて思うのです。

それともうひとつ。

ドライバーのミスを予防する一手が必要です。イギリスの横断歩道を見てしまうと、我が国の横断歩道の以下に貧弱なことか。だからこそ、横断歩道にデバイスの設置をお願いしたいのです。たとえば横断歩道に狭さくを組み合わせれば、横断しようとする歩行者を視認しやすくなります。横断歩道にハンプを組み合わせれば、自然とブレーキに足が移行しやすくなり、ドライバーのミスは減ります。こんなあたりまえのドライバーへの注意喚起があるのに、躊躇しないでほしい、と強く思います。

もう一手の、安全を実現するためのデバイス設置へのご理解を。

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