―鎌倉市営住宅の移転集約化事業を通じて―
2023年~継続中
・交流・健康増進を意図した団地空間計画の効果を検証する共同研究会
(青木あすなろ建設株式会社、株式会社市浦ハウジング&プランニング東京支店、ウスイホーム株式会社)
・鎌倉市と学校法人国士舘との市営住宅における交流・健康の増進及びその効果の検証に関する協定(鎌倉市)




本研究は、鎌倉市営笛田住宅の移転集約化事業を対象として、住環境の変化に伴う居住者同士の関係性の変化と、新たなコミュニティ形成のあり方について実践を通じて調査をすすめるアクティブリサーチです。住宅の更新は建物性能の改善だけでなく、これまで住民の日常的な交流を支えてきた生活環境やコミュニティにも大きな変化をもたらします。
庭や住戸周辺の「中間領域」に着目する
建替え前の笛田住宅は、1960年代に建設されたテラスハウス形式の住宅団地であり、各住戸の前後には専用庭がありました。居住者は、庭で野菜や花を育てたり、共用空間の手入れを行ったりすることで、日常的に屋外へ出る機会を持っていました。こうした庭や通路、集会所周辺などの空間は、単なる余白ではなく、庭仕事をきっかけとした会話、家の前での立ち話、挨拶や声かけ、住民同士の助け合いなどを生み出す「中間領域」として機能していました。
研究では、この中間領域がどのようにコミュニティ形成に関わってきたのかを明らかにするとともに、移転後の新しい住宅環境における交流の変化を追跡しています。
移転前の庭空間とコミュニティ調査
建替え前の笛田住宅を対象に、居住者へのヒアリングと庭空間の利用状況調査を実施しました。庭については、既往研究を参考に、畑タイプ、花壇タイプ、物置タイプ、未整備タイプの4種類に分類し、それぞれの利用状況を整理しました。居住者への聞き取りから、庭での作業や手入れが外出や交流のきっかけとなっていることが確認されました。
庭の利用だけでなく、「誰と、どのような交流が生まれているか」に着目し、住民同士の関係を平面図上に記録する調査を行いました。その結果、庭で話す、一緒に掃除する、家の前で立ち話をする、野菜や果物のおすそ分けをする、散歩や買い物に誘うなど、日常的な生活行動の中で形成される関係が確認されました。庭は、交流を目的につくられた場所ではありませんが、自然な接触機会を生み出すことで、近隣関係を支える場として機能していました。
移転後の新しい住宅におけるコミュニティ形成
移転後の新住宅では、住戸ごとの庭はなくなりました。
一方で、廊下、エントランス、ベンチ、コミュニティガーデン、玄関脇の小窓など、新しい生活空間の中で交流を生み出す場所や工夫が見られました。調査では、同じ階の居住者との交流が多く、会話、おすそ分け、見守り、通院や買い物の同行など、生活を支える関係が形成されていることが確認されています。また、廊下やエントランスなど、人の動線が交わる場所が交流のきっかけとなることが示されました。
地域との実践活動
研究では、調査だけでなく、居住者との交流を通じた実践活動にも取り組んでいます。
健康体操やお茶会、「木曜ひろば」などの活動を行いながら、新しい居住者同士の関係づくりや、以前から続く住民同士のつながりの維持を支援しています。研究と実践を往復しながら、住宅更新後においても高齢者が安心して暮らし続けられるコミュニティ形成のあり方を検討しています。
これまでの研究成果は、建築学会大会講演集にて発表しています。研究については、そちらをご参照ください。
この研究は、下記の共同研究・協定の枠組みの中で進めております。居住者はもちろん、市・PFI事業者・指定管理者・町内会、包括支援センターなどの関係者への問い合わせをしないようにお願いします。
以下の枠組みの中で研究を進めております。
・交流・健康増進を意図した団地空間計画の効果を検証する共同研究会
(青木あすなろ建設株式会社、株式会社市浦ハウジング&プランニング東京支店、ウスイホーム株式会社)
・鎌倉市と学校法人国士舘との市営住宅における交流・健康の増進及びその効果の検証に関する協定(鎌倉市)