下北沢の歩行環境と地域空間の調査研究

― にぎわいのある街を安全で快適に利用するために ―


下北沢は、個性的な店舗や文化施設が集まり、多くの人が訪れる魅力的な商業地域です。一方で、駅周辺には狭い道路が多く、歩行者、自転車、自動車、荷捌き車両など、多様な利用者が限られた道路空間を共有しています。

研究室では、下北沢の街の使われ方に着目し、歩行者が安心して利用できる道路空間のあり方や、商業地周辺に存在する空間資源の活用可能性について調査研究を行いました。


歩行環境と安全性の研究

― 人が感じる危険と、街の使われ方を分析する ―

人で賑わう下北沢。だからこそ、にぎわいに特化した調査ではなく、1)他地区でも一般的に行っている「ヒヤリハット調査」を実施することで、危険箇所の把握から客観的に下北沢のまちの特徴をつかみ、特にヒヤリハットが多くにぎわいのある場所を抽出、2)道・街の使われ方を確認するため、一般的に使われている様々な歩行環境調査を行うことで、下北沢のらしさを抽出しようとしています。


ヒヤリハット調査

― 地域利用者が感じる危険を可視化する ―

下北沢の道路環境における危険箇所を把握するため、世田谷区および商店会連合会の協力を得て、駅周辺利用者へのヒアリング調査を実施しました。調査では、利用者自身が経験した「危なかった場面」や「危険と感じる場所」について聞き取りを行い、地図上に整理しました。

その結果、下北沢では、

  • 道路幅員が狭い場所
  • 歩行者が集中する場所
  • 自転車と歩行者が交錯する場所
  • 路上駐車や荷捌き車両によって歩行空間が狭くなる場所

などが、危険を感じやすい場所として把握されました。

特に、商業地域である下北沢では、店舗活動に伴う荷捌きや滞留行動が、歩行環境に大きな影響を与えていることが明らかになりました。



歩行環境調査

― にぎわいが生み出す課題を読み解く ―

ヒヤリハット調査で危険箇所として指摘が多かった場所の中から、オオゼキ下北沢店から本多劇場、ビレッジバンガード周辺までの区間を対象として、詳細な歩行環境調査を行いました。

調査では、

  • 歩行者交通量
  • 自転車交通量
  • 荷捌き車両の利用状況
  • 歩行者の移動軌跡
  • 滞留行動

などを調査し、道路空間が実際にどのように利用されているかを分析しました。


下北沢の道路で起きていること


歩行者と歩行者、歩行者と自転車、歩行者とクルマ(トラックを含む)といった、さまざまな歩行者のヒヤリハットがみられます。路上駐車もその原因のひとつとなっています。それが当たり前の光景になっているところもありますが、平日と休日のいずれも11時ごろには歩行者がぐっと増える時間帯となります。クルマの通行規制の時間帯を見直すなどにより、安全性を高めることも考えられるでしょう。

歩行者同士のひやりとしては、交差部が注意かもしれません。対向する歩行者同士が接触する可能性がありますが、そうした場所での滞留も見られました。高くなることが確認されました。

道全体を使って歩く歩行者のようすなども動線調査から確認できました。滞留調査からは、スマホ利用意外にも道の広がる場所での休憩や飲食などもみられます。街の魅力であるにぎわいを維持しながら、安全性を高める道路空間のあり方を考える必要があります。



商業地周辺の空間活用研究

― フリンジ駐車場を地域資源として活かす ―


下北沢では、駅周辺の商業地域だけでなく、その周辺に広がる住宅地域も含めて街の価値を考える必要があります。

研究室では、商業地域と住宅地域の境界部分(フリンジ)に着目し、個人住宅の駐車場や時間貸し駐車場など、小規模な駐車空間の利用状況を調査しました。その利用状況を分類した結果、土地活用の可能性のある駐車場が一定数あることがわかりました。

未利用空間を地域資源として捉えることは可能か?

調査では、駐車場の位置、取付道路の幅員、規模、利用状況、空間特性などを整理しました。そのうえで、固定的な利用に限定されている駐車空間の活用可能性を検討しました。おそらく、一般的にもっとも活用の可能性が高い方法は駐車場シェアリングサービスです。駐車場の選択肢を増やすことで、来街者の利便性を高める可能性があります。権利を持つ人に、経済的な見返りがあるため、わかりやすく良い方法と言えます。

一方で、下北沢は細街路が多く、自動車利用を単純に増加させることは、歩行環境への影響も考慮する必要があります。そもそも、フリンジ部分の住宅地に、来街者の自動車が入って欲しくないと考える住宅地もあると思います。そこで研究では、駐車場を単なる「車を置く場所」としてではなく、地域の住民の利便性を高める活用方法も選択肢になるのではと、下記のようなことを考えました。

  • 高齢者や福祉サービスの送迎場所
  • 地域宅配車両の一時利用場所
  • 買い物客が休憩できる場所
  • 地域活動のための共有空間

もちろん、これらは私有の場所であり、権利を持つ方の意向が重要です。

上部へスクロール