当事者・地域・行政とともに進める、地域交通環境の改善

東京都世田谷区三軒茶屋地区では、駅周辺の交通バリアフリー化を進めるため、地域住民、障害当事者、高齢者団体、商店会、交通事業者、行政など、多様な主体が参加する交通バリアフリー基本構想の策定と、その後の推進活動が行われました。
寺内研究室では、この取り組みに学識経験者として関わり、基本構想策定後の推進委員会における活動を通じて、バリアフリー整備がどのように地域で実現されていくのか、その過程を調査しました。
基本構想から、継続的な地域協働へ
交通バリアフリー基本構想では、施設整備だけでは解決が難しい課題について、関係者が継続的に取り組む行動指針として位置づけられました。
三軒茶屋地区では、障害当事者、高齢者、地域住民、商店会などが参加し、まち歩き、ワークショップ、ヒアリングなどを通じて、地域の課題を共有しながら計画づくりが進められました。また、推進委員会では、基本構想策定後も各事業者の取り組み状況を確認し、当事者や地域の視点から改善提案を継続する仕組みが構築されました。






国道246号を横断する横断歩道設置への技術的支援
三軒茶屋地区では、国道246号による地域の南北分断が長年の課題となっていました。
しかし、横断歩道の設置については、過去の自転車横断帯設置による茶沢通りの渋滞問題の経験から、交通渋滞への懸念があり、整備の実現には技術的な検証が必要でした。そこで研究室では、交通シミュレーションを用いて、横断歩道設置による自動車交通への影響を分析しました。過去の自転車横断帯の状況、新たに提案された横断歩道設置案など複数のケースを設定し、交通流への影響を比較検証しました。
この分析結果は、地域住民への説明資料として活用され、平成20年10月に開催された説明会では、シミュレーションによる影響予測の説明を担当しました。

設計変更前

左折車の渋滞発生に配慮し
横断歩道の位置を変更

設計変更後

整備された横断歩道
構想を実現していく
バリアフリーの基本構想が策定されたとしても、実際にまちのバリアフリー化にむけて事業化することは容易ではありません。費用もかかります。また実施となっても、地域の合意も必要です。研究室としての貢献は小さなものですが、まちを「こうしたい」という思いを出発点として、当事者・行政・事業者・専門家といった多くの熱意ある人が協働し、合意形成を図りながら、実現可能な解決策を探る取り組みとして紹介したいと思います。